広告品評

広告を勝手に品評します。

【パロマ】なんでもなくなくない?

僕はあまり存じ上げておらず恐縮ですが、
パロマさんは湯沸器などガス器具の製造・販売を行っている会社のようです。

 

そんなパロマさんの企画がこちら。

 

www.paloma.co.jp

 

そのキャッチコピーは、こうあります。

 

なんでもない日を
ささえています。

 

たしかに、湯沸器やガス器具は毎日の生活に欠かせません。
日常や暮らしに寄り添ったものですよね。

でも、でもですよ。見てください。

 

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けっこう、非日常の写真が多いじゃないですか。

僕はたまたま表参道でこの巫女さん?3人の看板を見つけたのですが、

日常という触れ込みに違和感を覚えたわけです。

 

企画の実施にあたって、フォトコンテストも開催した様子。

テーマは、
日常の中の「温もり」と「熱意」
だそうです。

 

その大賞がこちらでございます。

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もう完全に日常じゃないですよね。

 

僕の日常の解釈が間違っているのでしょうか。

 

しかし、しかしですよ。
パロマ賞の作品はどれもちゃんとした日常っぽくてステキです。

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「つっても、こればっかりじゃ何か地味だし
小田和正の曲をバックに写真を流す
感動風のCMとかぶるよなあ」ていうのが制作側の本音かしら。

明治安田生命 | 「家族のあゆみ」篇[30秒バージョン]

 

広告の勝負は、直球勝負。
イデアが似てると思った時点で負けです。

 

そこに何か新しさをプラスするのが
クリエイティブの仕事に携わるものの使命であり、プライドであり、見せ所。

 

……と、理想論を吠えたところで
クライアントが気に入っちゃったならしょうがない。

 

そんな、サラリーマンの嘆きも聞こえそうな企画でした。

【東京都福祉保健局】ダメ、ゼッタイに甘えるな

「ダメ、ゼッタイ。」
このフレーズを耳にしたことがある人は多いと思います。

実はこれ、佐々木宏氏という
コピーライター(クリエイティブ・ディレクター)の作品です。

 

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http://2-5-d.jp/c1_grandprix/



たしかに、このコピーは
シンプルながら力強さがあり、
薬物の危険性を直感的かつ迫力たっぷりに表しています。
お見事。

しかし、浸透しているからといって雑に扱うのはいかがなものか。

 

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たしかに大事なことですが、
キャッチコピーを2回言ってどうするの。
しかも、マスコットキャラ?も似た位置に2回いるし。


さらに言うと「STOP」という単語で
止める手を表していますね。
STOPは、「動いているものを止める」という
イメージではないでしょうか。

 

薬物に興味を持っている人に対する警告ですか……?
「ダメ、ゼッタイ。」というぐらいなので、
きっぱり「NO」と言わないといけないはず。

 

文字情報がごちゃごちゃして
インパクトが薄まっているのも否めません。

 

広告は、こういう大事なことを
ちゃんと言う時にパワーを発揮するべきものです。

 

ただ、このクリエイティブ(コピー・グラフィック・企画・テーマ)は
かなり可能性を含んでいるのも確か。

 

ぜひぜひ、次回作に期待しましょう!

【花王】恥をかかせないでよ

http://www.kao.com/jp/kao_imgs/attack/atk_neoex_00_img_l.jpg

 

[以下、書き起こし]

バスに乗っているファミリー。
突然、妻が夫に向かって言う。

「……くさい」

その光景を見た長谷川博己が颯爽と登場。
そして、アタックNEO抗菌EX(Wパワー)を勧める。

 

 

すみません、動画が消えてしまっていたので
記憶だけで書きました。

 

とはいえ、今回ご紹介したいのは
妻が公衆の門前で夫を「臭い」と言うこと。

 

これは妻あるあるなのかもしれませんが、
言われた方はたまったもんじゃないです。

 

まあ、実際臭いし?臭いって言われるほど身だしなみを
ちゃんとしてない男が悪いんじゃん?

 

という意見もありそうですが、ちょっと待ってほしい。
これ、男女逆だったら絶対アウトですよね。

「スメルハラスメント」なんて言葉もあるぐらい
今の社会はニオイに敏感です。

 

男に対しては、臭いと言っても良いという発想がもうNG。

 

ただし、臭いという一般的な男性像と比べて
アタックを勧める長谷川くんは、清潔でカッコいいという
イメージを演出するのにはぴったり。

 

「何かを持ち上げる=ポジティブに見せる」は問題ありません。
しかし、「何かを貶めて相対的に良く見せる=いわゆるネガキャン」は
好ましくないですよね。

 

これは人をイジって
上下関係や体育会系特有の、しょうもないイジリで強制的な笑い
(笑ってあげないと場の空気がおかしくなる)を
つくりあげてるのと同じ。

 

そのあたりの配慮というかマナーというか
クリエイティブを守って、
気持ち良い作品を目指していきましょう。

【Yahoo!乗り換え案内】画面がもったいないわ

このブログは、コピーライターとして
広告のクリエイティブにあれこれ言うものです。

 

今回取り上げるのは、Yahoo!が提供している乗り換え案内のアプリ。
僕はグラフィックデザイナーではありませんが
さすがにこれは引っかかる。

 

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画面のほぼ半分がムダじゃないですか!

もちろん、経路を入力したら
このスペースに案内が出るわけですが
画面を切り替えたら良いだけの話。

ボタン小さくて押しづらいよ!

 

こちらはiPad版なので、ほかの端末ではちがうのでしょうか。

とはいえ、電車の乗り換えを調べる時には重宝しているので
うまいこと改善を望みます。

 

デザイナーの勉強をされてる皆様には
グラフィックの上手下手はもちろんですが、
いわゆるUI・UX(見やすさ、使いやすさ)も
大切にしてください。

【イーデザイン損保】その情報、いる?

「♪東京海上グループ
イーデザイン損保

というフレーズを耳にするたび、

ひとつも日常に接する機会がない単語だと感じる。

まあ、それは良いとしてCMの話です。

織田裕二氏と土屋太鳳ちゃんが出てるあのCM。

 

www.edsp.co.jp

 

CM自体についてどうこういうつもりはないんですが、
いちばん気になるのがコレ。

 

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名前が設定してあるけど、別に劇中で呼ぶわけでもないし
いるかなあ……。

もちろん、CMの人物に名前を付けるのは珍しくありません。
設定として考えておくに越したことはないですが
あくまで裏設定で十分。

CMという短い時間の中で、できるだけ質の良い情報を発信しなければならない時に
この名前を伝えることにどれだけ意義があるかは疑問です。

 

おおかた、安西優実は「安心」とか「優しい」というイメージだろうし
真島誠司は「真面目」とか「誠実」でしょ。

なんというか、わざとらしい。

とはいえ、これはあくまで現時点の話です。

 

長期的な視点で広告をつくれる場合は、
「登場期」「実売期」「セール期」のように
段階的なテーマがあります。

これはあくまで登場期、つまり紹介レベルにすぎないのかもしれません。
今後、役名を活かして何かドラマが始まるのかも!

ということで、期待しております。

【MINTIA】綾野剛がポンコツ扱いでかわいそう

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(公式サイトより)

 

前回は、横文字使えばカッコいいのかよ問題について触れました。
その流れで今回、こちらのCMをご紹介します。

youtu.be

さて、綾野剛扮する若手社員と思われる人が
会議で飛び交うカタカナ用語に困惑するという設定ですね。

出てきた用語は
【コンバージョン】
【アグリー】
イノベーション
サードパーティ
の4つです。

 

え……

 

ぜんぜん難しくないよ!

 

そりゃITとかウェブ関係じゃない人にとっては
ちんぷんかんぷんかもしれない。
でも、そういう会社で働いてれば、ふつーに使う言葉です。

 

新人だか若手だか知らないけど、
これぐらいの用語を知らないのは
勉強不足と言わざるを得ません。

 

綾野剛が「この会社のミーティングに来た専門外の人」
ていうキャラをちゃんと描かないと、
ただのビジネスマンとしてポンコツとして思われてしまう。

 

広告制作において、
一般の人にもわかるように
というスタンスでつくるのは大事だけど
専門の人に笑われないように
という目線も忘れてはいけない、という事例でした。

 

まー、ポンコツっぷりを難なく演じる綾野剛は立派です。

あと関係ないけど、最初に「コンバージョン」て言う人は
『ゆとりですがなにか』で岡田くんのお兄ちゃんの人だよね?

http://koimousagi.com/wp-content/uploads/2016/04/takahasiyou-e1461259118705.jpg

高橋洋 (俳優) - Wikipedia

 

良い仕事してらっしゃる……!

【ビーバートザン】横文字使えばカッコいい典型

http://2.bp.blogspot.com/-uDHcB6ADo7A/U9zB2bVjoII/AAAAAAAAjow/0aBxCVoN1J4/s800/nichiyoudaiku.png

社会人のみなさん。
「バッファ」やら「エビデンス」やら「コンセンサス」やら
流行りの横文字を調子乗って多用してませんか。

まあ、カッコよさげな印象を与えられるのは事実ですよね。
例えば、求人で「営業」というよりも
「アカウント・エグゼクティブ」といった方がすごそう。
単純に「調べる」という言葉も「リサーチする」といった方が
広く深く情報収集してる感を与えられそうな気がするのはわかります。

そういう意味で、やっぱり横文字はすごい。
広告は基本的に「誰も見ない」前提でつくられるので、
直感的にわかりやすく、そして何か印象づけたもん勝ちな部分もあるわけです。

前置きが長くならないうちに……
今回、ご紹介するのがこちら。

BEVAERTOZANという、ホームセンターの取り組みです。

 

sundays-craftclub.com

 

「日曜大工」という昭和のおっさん臭すらする言葉を
「SUNDAYS CRAFT CLUB(サンデーズクラフト)」という横文字で
スタイリッシュに生まれ変わらせました。

「趣味はなんですか?」
「サンデーズクラフトです」
とか、いってもなんか「お、おお(トキメキ)!」てなりませんか。

個人的にはヘタな横文字化は推奨しないのですが、
今回は成功例として取り上げさせていただきました。

なんだかもう、「BEVAERTOZAN(ビーバートザン)」すらカッコよく思えてきた……!